石炭と石油の上に築かれた論理性
アングロ・スフィア(Anglosphere)。聞きなれない言葉かも知れないが、ブッシュさんも「Anglosphere-heavy coallition」と言う言葉で、英語とアングロ族が主導権を取っている国々の堅い団結を頼りにし、誇りにしている。最も、最近では、あまりものご乱行に本家の英国からも冷ややかな扱いを受けるようになってきているので、一番の「coallition 同盟・連合」先を盟友Koizumiに求めている気配もある。この調子だと、狂牛病だろうがなんだろうが、テキサスの牛丼を毎日食べることを、毎年毎年、米国が日本に押し付けてくる「構造改革イニシャチブ restructuring initiative」の項目に盛り込まれることになるとも思われる。
「スフィアsphere」とは原義は球体のことで、地球の意味にも使われるから、「Anglosphere」とは、悪く取れば「俺たちアングロ族が支配する地球」という意味になる.もっとも、派生して「領域」という意味にも使われるから、この意味であるとすると、英語及びその慣習の基本を同じにしている国々の領域ということになる。
コラムニストジェームス・ベネット(James Benett)氏の定義によると:
This term [Anglosphere],
which can be defined briefly as the set of English-speaking, Common Law nations,
implies far more
than merely sum of all persons
who employ English
as a first or second language.
アングロスフィアとは、英語を話しコモンローの下にある諸国と定義されるが、単に英語を第一あるいは第二言語としている人々の集まり、という以上のものを意味している.
Nations
comprising the Anglosphere
share a common historical narative
in which
the Magna Carta,
The English and American Bills of Rights,
and such Common Law principles
as trial by jury,
presumption of innocence, ....
すなわち、マグナカルタ(英国憲法の基礎となった13世紀の憲章)やら、陪審員制による裁判などのコモン・ローの原則といった歴史的財産や慣習を共有している国々を、ひとまとめにしてアングロ・スフィアということだ。
コモン・ローのコの字も共有していない日本が「陪審員制度」の導入を押し付けられ、セッセと準備しているのは、やはり、このスフィアの仲間入りをせよと要請されている証か?しかし、いくら鈴木ソノ子の美白室に通っても、黄色い皮膚は白くならないのだが、どうする?
話が意図したところから逸れそうなので、元に戻すと、この200年、アングロ・スフィアが世界を支配してきたことは歴史的事実として認めざるを得ないだろう。はじめの100年は石炭時代であり、GB(Great Britain)が七つの海と三大陸を支配した。その結果ロンドンは石炭のススで真っ黒に汚れ、未だに薄汚れたママである(*1960年代から70年代での私の印象)。次の100年は石油時代であり、これは分家のUSAが押えてきた。こちらは、有り余る石油を基礎にして、例えば、ほとんど意識もなくロープ際にうずくまっている大日本帝国の領土、小さな硫黄島を取るだけのために500隻の艦船3個師団の兵を動員したり(1945年2月)、戦後はリッターあたり3キロメートルしか走らない戦車のような乗用車を乗り回したりして、力を誇示し、栄華を誇ってきた。
石油がダンダンなくなってくると、さすがに栄華を誇ったアングロ・スフィアも、次第にその力を失っていくことは明らかであるが、足腰の衰えの前に、頭の衰えの方が早いようで、なるべく近寄りたくない。ビートタケシの映画のように「その男凶暴につき、..」というレッテルを、アウングロ・スフィアの前に付ける必要のないことを、私は願う。
(05.9.17. 篠原泰正)