まだまだ次々とリストラが進行していく。私にはその意図が今一つ明確に読み取れないのだが、5ヶ月前に電子材料と容器材料が合併してできたばかりの特殊化学材料事業部が、今度は包装材料事業部に吸収合併されるとの社内向けの発表が電子メールを通じてあった。発表にも書かれていることだが、確かに特殊化学材料事業部の中核をなす容器材料事業と包装材料事業とは、一方が缶詰や瓶詰容器用のシーリング剤、あるいは塗料がメインの製品であり、他方が食品包装用の多層収縮フィルムが主力であり、両者とも保存食品、食品流通あるいは食品加工という関連性のあるマーケットが対象である。
しかし、一方は先進国では飽和しきって開発途上国を開拓せねばならないというビジネスであり、もう一つはまだまだ、アメリカや日本をはじめ先進国で拡大しつつあるマーケットである。しかも、両者に技術的な共通性は乏しい。技術的に見ると、一方はたとえ組成分析しても成分がはっきりと分からないような、いくつもの化学物質の液状の混合物であるのに対して、包装用のフィルムは組成の良く知れたポリマを何種類か重ねてフィルムにした材料であり、何をどういう順序に重ねるかの設計とそれをどうやってフィルムにするかの問題である。
確かに食品包装用フィルムは狂牛病騒ぎで痛手を被った。それがまだ尾を引いているらしいが、間違いなく一過性の問題である。そしてブルース社はこの市場では世界のリーディングカンパニーである。一方の容器材料にしても、市場の大きな伸びは期待できないにしてもしっかりとそのニッチ市場をキープしている。この合併吸収の意図が私には理解できない。(クリヤ・ビュー)