衛星からの写真などで眺めると、南極大陸(Antarctica)はなんとなく平べったい丸テーブルのような姿かと思っていたが、実は、大陸の東部地区(ロンドンから真っ直ぐ南に経度セロ線を延ばして西と東に分ける)の中央部には山脈があることが、50年前にロシアの科学者によって発見されていたとのことだ。名前はなんと発音するのかわからないが「Gamburtsev」山脈という。
本日のロイター電が伝えるところでは、日本を含む7カ国の調査団が調べたところ、この山脈はヨーロッパアルプスに、高さも渓谷のありようも、極めて似ているとのことだ。この大陸には平均して3キロメートルの氷が積み重なっているとのことだから、この南極アルプスの天辺にも3キロ積もっているのだろうか。そうすると山の高さ2キロにプラスして3キロとなると、頂上は5キロの高山になる。残念ながらロイターはこの疑問には答えてくれていない。
アメリカ合衆国の面積よりも広いこの大陸に積み上がっている氷が全部溶けると地球の海面は平均して57メートル上昇するとのことだから、計算すると、氷全体の1.75%が溶けるだけで1メートル海の水が盛り上がることになる。3.5%溶けると2メートルのアップになる。たったこれだけで、東京を含めて地球の沿岸地帯は壊滅的打撃を受けることになる。
しかも不気味なのは、この分厚い氷の下のあちこちには水が流れる川もあり湖もあるという。地面に接するところで氷が溶けて流れているわけだ。昔はやった都々逸調の唄に、”富士の高嶺に降る雪も、京都先斗町(ポントチョウ)に降る雪も、溶けて流れりゃ皆同じ”という句があったが、この南極の氷の下の川の水はどこに流れ出しているのだろうか。また、熱い地面があるのはなぜだ?(火山地帯?)
この南極大陸と同じ厚さの氷が日本列島を覆えば、衛星から眺めた列島は、富士山の頂上がわずかに300メートルほど氷の上に顔を出しているだけの姿となる。これだけのすさまじい量の氷の先端が、西南極で溶けはじめている。科学者はデータではっきり答えが出ない限り、断言するのを避け、「ありうる」とか「かも知れない」なんて表現をするから、マスコミをはじめ誰も事態の深刻さを感じない。タイタニックの船橋に当直の航海士として立って、”このまま船を進めると、前方の氷山にぶつかるかもしれない、ぶつかる危険性が大きい、ぶつかることも考えられる”、なんていい方をするから、悪いニューズは聞きたくない庶民と、聞かせたくない朝日・日経新聞によって、間近に迫っている危険は報道されないことになる。
お台場のフジレテレビもアホなお笑い番組ばかり流していないで、そろそろ引っ越しを考えておく必要があるのではないでしょうか。
(09.02.25.篠原泰正)