「ジー」(geeまたはjee)という掛け声?つぶやき?合いの手?はアメリカの俗語であると思うが、「なんだこりゃ?」、「わー大変だ!」というようなときに発せられる。どこからこの言葉が出てきたのか浅学の私の思い至るところではないが、もしかしたら”なんてことだ”と言うときにつかわれる「ジーザス・クライスト Jesus Christ」、またはそれを短く「ジーザス」というところをもっと短くしたものではなかろうか。
それはともかく、昨日から(7月8日)洞爺湖で始まった「G8」はまさに「ジー」エイト、何たる8人という感じである。この会議に対して私は別に何も期待していないからどうでもいいことなのだが、2050年までに世界の温室ガス排出を少なくとも半分に減らしましょう」という合意は、一言で言えば「アホラシ」である。40年後までに半分に減らすといっても、そのときまでに人類は生き延びているのだろうか。死に絶えてしまえば排出量は100%削減だぜ。
G8の構成諸国だけで、ある数字によれば、現在の排出量は世界の62%を占める。さらに、これまでの30年間の累積でみればこの数字はもっと高く、多分70%を軽く越えているだろう。このとんでもない大きな責任を持つG8(より正確に言えばロシアが入ってくるまでのG7)が、2050年というとんでもない先で半分にしましょうとお気楽にのたもうているわけだ。「無責任エイト」と会議の名前を変えた方が良いだろう。あるいは、その無責任性に着目すればサミットではなく、「最低」という意味で「ボトム会議」とした方がお似合いである。
いずれにせよ、このG8会議は今回でおしまいであろう。地球の行く末をまじめに考えるのなら、中国、インド、ブラジルといった大国や石油を握るアラブ諸国などを交えて話をしなければ何にもならない。ロシアを除けば、つまりもともとのG7の顔ぶれを眺めれば、いずれも斜陽の大国であり、霞ヶ関風のレッテルを貼れば、「後期高齢者セブン」ということだ。自分たちのこれまでの蓄積と築き上げてきた既得権益にしか関心がなく、新たな問題に立ち向かう気力も体力も失ってしまっている。
事業計画を真剣に策定してそれイケ、やれイケと進む時の事業計画はどんなに長期のそれでも長くて10年である。10年以上先のことは「Only God knows」(神のみぞ知り給う)であり、ましてや、「40年先にはわが社はカクカクしかじか」なんて姿を経営会議でプレゼンすれば、「アホとチャウカ」とブーイングの嵐を巻き起こすだけである。長期ビジョンなんて飲み屋での話題にもなりえない。
私のささやかな感想をまとめると:
(1)西洋式でもなく中国式でもない日本式を提案する絶好の機会であったが、あいも変らず西洋のお仲間に入れてもらっているだけで満足している哀れなジャパン
(2)没落貴族国のGセブンはもう気力もなく体力も薄れて来ている
(3)温室ガス排出を抑えるためには化石燃料の消費を減らすしかないのだが、それをやるつもりはないから、長期ビジョンでごまかすしかないという彼らの考えは理解できる
(08.07.09.篠原泰正)