来年は1929年の大恐慌の始まりから80周年である。1939年第2次大戦の始まりから70周年である。今年は、1968年、パリの5月革命を皮切りに、世界中で学生が暴れまわったときから40周年である。そして、来年は1989年、ベルリンの壁が崩壊してから20周年となる。さらに言えば、今年は1868年明治維新元年から140年である。
どうも8年とか9年という年は、大きな騒乱の年ではなかろうか。今年2008年も既に、穀物と石油の急激な値上がりが大嵐の前触れの如く世界を吹き荒れている。ビルマのサイクロンと四川省の大地震は自然現象とはいえ、なにやら人間社会への嵐に同調して来ているようで不気味な感じがある。
明らかなのは、石油と穀物の値上がりは嵐の前兆に過ぎず、これから徐々に風は強まってくるということだ。そして、今回もまた、米国も欧州も日本も、この迫り来る嵐に対してほとんど何も対策は立てられていないことにある。大恐慌が始まる前のバブル期に誰がガラが来ると予想しえたであろうか。ヒトラーがポーランドに侵攻してくるなんて誰が予測していただろうか。ベルリンの壁が崩れるなんて誰が予測できたであろうか。歴史の後から眺めると、嵐の前兆の数々は読み取れるが、その現場にいるときに予兆を感じるのは難しい。
人間の知恵は進化していないし、予知能力も発達しないから、悲しいことにわれわれはある日突然ガラが来るまで、今日は昨日の続き、明日も今日の続きとのんびりと過ごす動物であるらしい。あるいは、真剣に考えても打つ手は出てこないから、考えすぎてうつになるよりは考えないようにする自衛本能が働いているのかも知れぬ。
ともあれ、われわれがこれから迎える嵐は超特大であることは間違いない。その嵐の下での生存方法は各人が考えるしかなく、考えるためには情報が必要だから、あの手この手でかき集めねばならない。その時注意すべきは、マスメディアなどは「嵐が来るよ」とは正面から報道してくれないことにあり、自分で、小さな出来事から前兆を嗅ぎ取る能力を高める必要がある。いわゆる風のそよぎから嵐を感じる感性を育てねばならない。
かつての遊牧の民の族長の如く、先を見通してくれるリーダーは世界のどこにも居ないから、各人が自前で判断しなければならない。会社の長も国家の長もあなたと同じかあるいはそれ以下の予知能力しか持っていないから、頼りにしてはあなたの命取りになる。
今年、2008年は、まだ晴れているが湿った風が南から徐々に強まり、上空の雲が飛ぶように西から東に流れているという年になるだろう。来年は大風である。
(08.05.16.篠原泰正)