日本の特許法の第一条に「この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与する事を目的とする。」と書いてある。これを砕いて言えば、特許制度というのは新しい技術を考え出した人に、その技術を公開してもらって、皆の知識を豊富にして全体の技術を高めるかわりに、その新しい技術を公開した人に、その技術を当分の間独占して実施する権利を与えよう、という制度である。
こうすれば、よい技術を発明して特許を取れば、お金が儲かるからみんな一生懸命自分の技術を高めるため全体のレベルも高くなる。
さて、ある人が会社で大変良い、お金の儲かりそうな発明をしたとしよう。それで特許を取る必要がある。彼が技術者であり、これまでも結構特許出願の経験があるとして、彼はおそらく特許出願用の明細書の案(発明の仕様書)を自分で9割がた書き上げる。そして、社内の特許部へ提出し、クレ-ム作成の専門家の手直しを受けて弁理士を通じて特許庁へ出願される。急いでやれば、発明ができてから僅か1週間で出願まで終わってしまう。
このようにして出願された特許願は日本の現在の特許制度では、1年半ののちにすべてがそのまま公開されるので、そのあとは誰もがその内容を自由に知ることができる。そして、アメリカは除くが(*今は公開される)、多くの国が日本と同じように、出願されたすべてのものをいったん公開特許公報として公開するシステムをとっている。もちろん、こうして公開された公開特許公報は、その時点では本来の特許としての法的な効力は持たない。まだ、こういった出願がありましたよ、という段階である(本当はもっと複雑なのだがここではそういう事にしておこう。これ以後も専門の方には申し訳ないが、かなり乱暴に話を進めていくことをお許し願いたい)。(クリヤ)