講座に対する意見をアンケ-ト用紙に書いて貰いましたが、「惨憺たる状態であること初めて聞いた」「翻訳を意識して日本語を書くなんて考えた事無い」「それぞれの専門家がキチンと処理していると思っていたけど・・」。受講者ノ皆さん事実を知らなかったと言って驚いていましたネ。それから面白い事に気ずきました。大手企業さんに勤めている人、組織規模が大きくなるほど自分の領域に嵌りこんで、タコツボ状態です。「もっと実例を挙げて何処が悪くてどのように直せばいいのか具体的に教えて欲しい」と言う事をいっていました。つまり自分の欲しい知識だけを吸収できれば目的が果たせると考えているのでしょうか?(そこから先は金払えば教えてあげるからゼニ払え!と言いたくなりますネ、) 他方、中堅企業の方のほうが大局的に物を見たり物の本質を見抜く能力が高いようです。改善意欲があります。
(知的財産に強い国になるためには)
1.事実把握の為の調査・分析を早急に実施し、産学界に現状をお知らせし警鐘を発する啓蒙活動をすべきです。
2.特許明細書は技術文書で法律文書との混合であるという「誤解」を解くべきで、誤解を解くメリットは大きいはずです。
技術文書と法律(法的)文書の混合であるという誤解は、大きな弊害をもたらしています。すなわち、法的なものが混じっているとのことだから何やら難しいものである、という偏見を多くの技術者が抱いており、そのことは、英文特許明細書を読むことを敬遠したり、自分の発明を記述した英文出願書をチェックせずに承認したり、あるいは何か少しおかしいなと思っても、特許明細書は法的なものだからその面で素人の自分が口出しすべきでないと控えたりすることにつながっていると思います。
米国特許明細書は、単に技術文書の一つであり、英語での表記のとおり技術の仕様書(Specification)の一種に過ぎません。
発明の権利を主張する仕様書ですから、その記述において主張する権利の範囲を損なわないように、他者の権利に引っかからないように、法的な眼で注意を要するというだけで、記述される文章は技術の記述であり、法的事項の記述ではないはずです。
3.大学の理工系学生への英語教育に「米国特許明細書」を教材にして「論理力と文書力」を高めておくべきです。技術者のための英語教育は実践的であるべきです。
4.日本特許庁の審査官が理解できるギリギリの文書を書くのが弁理士の腕の見せどころという考え方はおかしいです。特許権が切れて当業者が「特許明細書に書いてあるとおりに再現したら、証明が出来たというのが発明仕様書の基本だと思います。
5.日本企業は[自社製品]に対する品質保証は超一流です。しかし「自社製品」の技術を守るべき特許明細書の品質は明らかに欠陥品と言えます。特許明細書の品質をチェックする品質保証体制が急がれます。
(その他)
1.当社では啓蒙活動の一環として「世界に通用する特許明細書つくり」のセミナーと「論理力
と文書力を身につける」SLE塾を無料で開催しています。それだけこの問題に対して「本気」で取り組んでいるという証です。
2..敵さんは自分の発明を他と比べて「これだけ凄い発明である」と主唱する訳ですから他人の特許をよ~く調査して分析しているということになります。その点、日本人技術者は英語が苦手ですから充分な調査と分析ができません。ということで自分の発明のことしか書けないのです。
3.このままでは、日本の強みとされている代替エネルギー技術、省エネルギー技術、環境技術といった技術も「書類不備」のため半導体、液晶、プラズマと言った「デジタル化商品」の二の舞になりかねません。(矢間伸次)
以上