木下先生は書籍の中で、内容が複雑でどういう形に纏めればいいのか見当がつかない場合の構成案の作り方(文章の組み立て方)について自分の体験を述べている。
『何年か前に私は大学改革案の検討委員会の報告のまとめを頼まれたことがる。16か月にわたる審議の膨大な議事録があり、テープがあり、私自身のメモもあったが、内容は極めて多岐にわたり、しかも同じ問題がくりかえして論じられていて、報告書の構成案を作ることは容易ではなかった。私は資料ぜんぶに通し番号を打ち、拾い上げるべき項目ごとにカードをつくり、各カードにその項目が出てくるページ番号を入れた。カードは数百枚に達した。次にそれを、将来ひとつの小節にまとまるだろうと思われるグループごとにゴム輪であまとめた。一つのグループは数枚以下として、まとめた束にそのグループの内容をあらわすことば(小節見出し)を書いたカードをつけた。(中略)。私は、たぶん、三日二晩で目次を作り、あとは一瀉千里に本文を書いて、合計一週間で10章44節の報告書をかきあげた。この時のやり方は、KJ法の技術に負うところが大きい。関心ある読者にはKJ法の発案者、河喜多二郎氏の「発想法(中公新書1967)」の一読をすすめる』。(原文から)
「アイデア発想法」といった「知的生産技術法」に関する書籍はたくさんあり、多くの人に知られている。基本的な考えはいずれも図解による創造技法である。中でも河喜多二郎氏の「KJ法」が有名である。
日本アイアール知的財産活用研究所は、1990年から発明者が書く発明提案書作成(発明届書)の支援ツールとして「MC法」の研究開発に取り組んできた。「MC法」とは、表面が3行3列の9面のマトリックスカードを使用して、中心の1セルとその周辺を取り囲む8セルの「思考の場」を繰り返すことで自分が抱えている課題を解決する創造技法のひとつである。つまり、カードによる情報の発散と収束を繰り返す「1対多」での手法である。この「MC法」をソフト化したのがMEMODASである。仏教界の「曼荼羅絵図」をイメージすればば分かりやすいと思う。(発明くん 2020/06/30)
(*)このMEMODASは、無料開放をしています。興味ある方は、
https://www.ipma-japan.org/memodas_free.html