知的財産翻訳協会(NIPTA)から依頼を受けた原稿が遅々として進まない。その理由は新型コロナウイルスのことが気になり落ち着かないでいるからだ。原稿の締め切り期日までに間に合わせる方法はないか。
それにしてもコロナウイルスの感染対策は、後手にまわっており、収束には時間がかかりそうである。我々日本人は、場当たり的解決と問題の先送りをしたがる習性があるようだ。問題が起きれば、とりあえず場当たり的に処理をする、あるいは周りの風を気にしながら「ウヤムヤ」にして先送りしたがる。問題解決を先送りしているうちに事情が大きく変わっており、解決するのがますます難しくなる。反省がないのも、懲りないのも、忘れやすいのも日本人気質の利点と言えばそれまでだが・・・。
お上は指針を出すが責任は取らない。詰まるところ現場で、あるいは自己責任で対処せよ、というスタンスは変わらない。福島原発事故で「原子力発電運用指針」を読んだ時の驚きを思い出した。責任所在は曖昧で読み手側の判断に任せる、という誰もが責任を取らない見事な?文章であった。これは日本特有の複雑さと曖昧さがそうさせているに違いない。
こうなれば“礼の和を以って貴しと為す”という得体の知れない抗体を持つ日本人が新型コロナウイルスから“誠に住みにくい人種だ(まじめで忍耐がある)”と嫌われて逃げ出すか、あるいはコロナウイルスにとって良き宿主になり共存するのか分からないが、それを期待するしかなさそうだ。
さてNIPTAの原稿はどうするか。コロナウイルスの緊急事態宣言も原子力発電運用指針も知財業界と共通する部分がある。それは同調圧力を意識した村社会である。つまり「阿吽の呼吸」という以心伝心を期待した曖昧な言葉や文章が使われていることだ。これらの共通する事項を知財文章と結び付けて、NIPTA原稿のネタにすることを思いついた。その内容は「知財業界にこれだけは言っておきたい!」とした、この内容ならすぐに書けるから原稿締め切り日には間に合う。(発明くん2020/05/14)
(*)このNIPTA原稿はIPMAホームページヘアップしています。https://www.ipma-japan.org/