令和元年も残すところ、あと一週間となった。年の瀬を迎えると、恒例の「今年の漢字」が発表される。「今年の漢字」は、令和の「令」であった。お笑いタレントが出演するテレビ番組の中で、「あなたが選ぶ今年の漢字は、何ですか」というコーナがあった。問われた人の思いは、夫々が違うのは当然である。笑いを取れることを意識した漢字から、希望や皮肉に満ちた漢字まで様々である。
私は中国古典に興味を持っている。中でも孔子の教えを好んでいる。つまり”孔子いわく云々”である。その一つに、孔子いわく“上に立つ者が正しい行いいをすれば下の者もついてくる”という言葉がある。その中で、「仁」、「義」、「礼」、「勇」、「智」、「信」、「謙」、「寛」、「忠」の漢字が出てくる。その意味は、
「仁」:相手の生活が成り立つように思いやりの心を持つ
「義」:人間として正しい道を歩く、正直である
「礼」:礼を尽くし、他人に敬意を表す
「勇」:勇気を持って正しい決断をする
「智」:先をみる目、方向性を決める目、すなわち洞察力を持つ、
「信」:約束は必ず守る、嘘をつかない、隠さない
「謙」:威張らない、謙虚である
「寛」:心が広く、人の過ちを受け入れる寛容さがある
「忠」:受けた恩は忘れず、誠実で、真心がある
私は毎年、この漢字全てを選ぶことにしている。その理由は、この戒めを守れないからだ。しかし私が選ぶ今年の漢字は、一つにして「信」である。その理由は、アフガニスタンで銃撃されて亡くなったNGO「ペシャワール会」の現地代表 中村哲医師の言葉である。中村哲医師いわく、紛争の中で命の危険に曝される状況は何度もあったが、”お前は日本人だから襲わない”と言われたそうだ。それは、戦争をしない日本国と日本人への信用である。この信用は70年掛けて築き上げてきた、お金では買えない
財産である。
私の先輩からも同じような話しを聞いたことがある。商社マンとして危険な地域でビジネスをしてきたが、危険な目にも合わずに現地の人が助けてくれたこと。それは日本国及び日本人への信用のお陰であることを実感した、と。そして日本しかない、この偉大な無形財産を壊してはならない、と結んだ。(2019/12/25 発明くん)
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https://nihonir.exblog.jp/2357791/