これが、使える「経営開発情報」だ!(2)
更に驚いたのは、情報収集するための検索式の組み立て方が凄い。類似の技術、製品、システム、あるいは発明の記述は同じような「フレーズ・文章」が使われている。従ってキーワードだけの組み合わせでなく「フレーズ・文章」で入力されている。おそらく同じ「フレーズ・文章」で記述されている類似の情報も探し当てようとするのが目的かとおもう。さらにヒットした資料から別の表現も取り入れている。要するに手がかりを掴んでは「芋づる式」に展開していることが分かる。
彼は日本語での問題解決、課題記載の「フレーズ・文章」は作りにくいと言う。日本語では「何を(O)、解決している・するための(V)、装置・方法(S)」となるが、英文は(S)(V)(O)で簡単であると言う。例えば「総体速度を測定する装置や方法」は、“device to measure the relative speed”となっている。また装置等がどのような「状態」にあるのかといった検索も英語が適している、と。
何故、英語原文の情報に拘るのか。彼曰く、原文には重要な情報が隠さずに入っているからだ。原文は、株主、投資家に向けた会社情報でもあるから嘘は書けない。特にM&A投資に関する情報は全て正直に開示しなければ投資家を裏切ることになり見放される。従って数百ページに及ぶ資料は「ザラ」にある。因みに外国から日本向けへ開示されている資料は「薄ペラ」で、内容に乏しいのが多い。
原文情報を読むことで想定外の情報(提携関係、研究者の人脈など)に出会うことがある。だから「ムダ」にはならない。
また、この調査レポートを読むのは経営上層部であることが強く意識されている。例えばライバル企業A社の事業計画を知り得たとする。このA社の計画が、何処まで進んでいるのか、その情報が欲しいはずだ。A社の事業計画(現状、進捗)を正確に把握するには特許情報が役に立つ。それを裏付ける、担保となる、嘘がない資料が特許情報である。
即ちA社の事業計画(戦略)に必要な発明技術が既に出願されているのか、あるいはどのような出願戦略を取っているのか、研究開発プロジエクトの中心となる発明者は誰なのか、共同出願は成されているのか、と言ったことが分かる。ここで取り上げる特許情報は、米国特許(USパテント)が、最も説得力がある。
ここで大事なのは、「しつこい、くどい、難しい」の特許説明はタブーである。特許情報を全面に出せば間違いなく読んでくれない。とにかポイントを簡潔に分かりやすく、さりげなく入れ込んで報告しておけば良い。会社の持続発展を絶えず考え続けている経営幹部であればこの調査レポートをキッカケに次の行動を起こすはずだ。次は、「こんな情報、あんな情報」が欲しいと言い出すに違いない。これがグローバルな「経営開発情報」である。(発明くん 2019/11/01)