これが「経営開発情報」の調査レポートだ!(1)
この調査レポートは、パワーポイントで作成されている。その特長は、文字が大きく、文章が短く、文字数が少ないことである。作図も工夫されており分かりやすい。また「場」に合わせて写真が貼り付けられている。オリジナル資料ヘのリンク付けもされている。とにかく、分かりやすく、読みやすく、簡潔に纏められており、読んでいても飽きない。また、「欧・米・中国企業」が発信している会社情報の数が多いのも特長である。
この調査レポートから知り得たことは、大きく2つある。先ずは、IoT技術によって製造業の物づくり方式、あるいはサービスのやり方がこれまでと違い激変していること。例えば部品の仕様と価格は、お上(プラットフオームを持つ企業)が決める。二つ目は、「環境汚染・変動」によって、航空機、船舶、車両等の電動化は避けられないということである。
航空機の電動化も着々と進んでいる。特に航空機の安全対策は大事である。不具合は、機内の機器から出されるデータ(温度変化、異音、振動など)から予知する。部品交換の方法までが変わる。ある部品の異常が検知された場合、現地(飛行先)でも、その部品の供給が可能となる。その部品に関するデータ(構造、材料、配合など)を「金属3Dプリンター」に覚え込ませることで複雑な構造、材料配分であっても可能となる。高度技術の塊あるジエットエンジの部品を「金属3Dプリンター」で作り、日本でも保守できるということは、世界どこの地でも可能だということになる。
ノルウエイ政府は、2026年までに、世界遺産に指定されているフィヨルドに、ディーゼルエンジンなど有害物質を排出する船舶の乗り入れを禁止するらしい。つまり、ハイブリッド船はフィヨルド入り口でディーゼルエンジンを停め、フィヨルド内では全て電機のみで駆動することになる。この調査レポートに巨大な豪華客船がフィヨルドを背景に停泊している写真がある。あの世からお迎えが来る前に是非、行ってみたい。因みにノルウエイのカーフエーリは、寄港先でのバッテリー電池の充電が可能で、2015年に就航している。
ヨ-ロッパでは、スエーデン、ドイツなどの都市で、既に電動バスが運行されている。この調査レポートに、バスの停留所から充電できる方式の写真など様々な電動バスの写真がある。ヨーロッパの古き街並みに深く溶け込んだ電動バスのデザインは斬新で、その美しさに感動した。因みに有害物質を排出する重機・建機での土木工事(道路補修など)は、街中では禁止されており、罰金を徴収する都市もあるようだ。
豪州の鉱山ではショベルカーの無人遠隔操作とダンプトラックの自動運転が、2008年から既に実用化されている。ダンプトラックの自動運転は、一般道路と違い専用道路であるから衝突事故の心配は無い。そのぶん実用化が早かったのであろう。現場写真から見るショベルカーとダンプトラックの巨大さに驚いた。
この調査レポートに【参照】として「日本企業がM&Aを苦手しているのはなぜか」という表題の小レポートがある。
第4次産業革命は、自前主義が通用せず、事業の再編、統合は避けられない。M&Aはグローバル規模で展開されている。しかもそのスピードは、とてつもなく速い。しかし日本企業は「欧・米・中国企業」に比べ、大きく遅れを取っている。成功事例は少ない。その理由は、相手企業の情報内容が、圧倒的に不足しているからだと指摘している。更に日本企業が持つ特有の組織が弊害にもなっていることにも指摘している。責任を取りたくない組織は、その判断と責任を外部へ「丸投げ」する傾向にある。
外国企業の〇〇事業部を買収した日本企業の苦労が「さりげなく、寂しげに」レポートされている。買収した〇〇事業部は酷く業績が悪い。現地社員の教育も進まず、品質管理の未熟、納期の遅れは当たり前である。「現場感」を身を持って知らない本社の経営幹部は「なんとかせい!株が下がるではないか!」としか言わない。現地に駐在している日本人責任者の苦労を思うと切なくなる。
日本人の特性であろうか、目先の課題解決には大きなエネルギーを費やす。しかし、それが終えると「ハイ、それでおしまい!」となる。その先で新たな問題が起きれば、その時に改めて考えればよい。極めて場当たり的である。だから買収することが目的となり、手段は後回しとなる。(発明くん 2019/10/30)