「転換・革命期」の時代背景(4)
「IPランドスケープ」に使われる「調査レポート」の作成目的は、自社事業に関連する内外国のあらゆる情報を収集し、その情報の「分析・解析」を行い、これからの市場動向、同業他社の企業動向、新技術を予測する技術動向などを調査することである。即ち、自社事業の将来を見据えた「会社経営・自社事業」の戦略策定に役立せる情報提供である。
「IPランドスケープ」で必要な情報(調査レポート)は、まず「経営開発情報」、次に「技術開発情報」、そして「知財開発情報」を考えている。
「経営開発情報」は、経営上層部、事業推進(カンパニー)責任者、研究開発責任者向けのレポートである。それは第4次産業革命で、自社事業はどう変わって行くのか、その変化に対応できるのか、どのような手を打つべきかと言ったことを予知することから始まる。つまり会社の持続的発展と生き残りをかけた極めて重要な調査レポートである。つまり自社事業の将来を俯瞰するマーケテイング調査でもある。
「技術開発情報」は、先の経営開発情報をアレコレと引きます回すことで、自社が進むべき新しい技術研究開発の領域を見つけることが可能となる。その領域での技術動向や企業動向を探索する為の調査レポートである。つまり、その領域における知財の安全を確認し、自社が安心して自由に研究開発が出来る技術領域、あるいは自社が踏み込んで「ヤバイ」危険な技術領域を早く見つけることである。その目的は、余計な知財係争を未然に防ぎ、自社事業の優位性を確保することである。「パテントマップ」と言われている資料が、これに該当するのではなかろうか。
「知財開発情報」は、知的財産の創出、知的財産の権利化、知的財産の出願計画、知的財産の保護と活用、そして知財係争等の準備・対応に使うための調査レポートである。「グローバル知財」の世界では、特許、実用新案、意匠、商標、著作権、守秘知財といった、全ての知的財産を包含した知財運営『保護と活用』が「知財戦略」の核となる。知的財産の侵害予防調査などが、これに該当する。
2019/10/07の朝日新聞に「官民フアンド 遠い累損解消」と言う記事が載っていた。その内容は「スタートアップ起業などに投資をして産業を復興する官民フアンドで、コンテンツ分野や農林水産分野など4機構の累積損失が膨らんでいる」と指摘するものであった。苦戦の一因は、担当者が各産業の実態に通じていないこと、担当者が頻繁に変わること、そして金額ありきの投資は危ない、ことなどが挙げられていた。
そこで「フッ」と思った。投資先企業に対して「IPランドスケープ」のような調査レポートの作成を指導し、提出を求めるか、あるいは官民フアンドが、その機能(ノウハウ)を持てば良いのではなかろうか、と。次回からは、知的財産部さんには馴染みが薄いと思われる「経営開発情報」について、「アレコレ」と自分の持論(能書)を述べるていく。(発明くん 2019/10/18)