「転換・革命期」の時代背景(1)
前節で述べた変革期時代は、コンシューマーインターネット(Consumer Internet)の大発展時代であった。推進したのがアマゾン、アップル、グーグル、フエイスブック、マイクロソフト社など、米国を代表とするIT企業である。この時代を第3次産業革命と位置づけ、それは何十億という世界中の人々を繋ぐというコンセプトであった。
GE社を初めとする米国の巨大製造業は、コンシューマーインターネットの大発展を横目で見ながら、伝統的製造業では未来がないと考えた。そこで、コンシューマーインターネットに匹敵する「物のネットワーク」で、製造世界を変えねばならないとい危機感を持つに至った。これが、インダストリアルインターネット(Industrial Internet)である。それは世界中の何百億という物(部品、コンポーネントツール、設備)を繋ぐというコンセプトである。
因みにGE社はプラットフオーム(Predix Cloud/2015)を構築し、コンシューマーを形成している。このプラットフオームは、メンバー企業で改良発展させ、メンバー企業であれば誰でも利用できるようにオープンに提供している。
インダストリアルインターネットの狙いは、ビッグデータの解析、 機械の自学習、自社製品の状態監視(故障予知)、遠隔の保守技術、ユーザインターフエースの改善と標準化などである。課題はコンシューマー技術と、クラウド技術を最適化して取り込むことである。
インダストリアルインターネットの考えは、ドイツ政府の産業政策である「Industrial Revolution 4.0」からヒントを得たと言われている。「インダストリアルインターネット」と「インダストリアル4.0」は、互いに供する存在でなく補完するものである。互いの共通領域を共有して、それぞれの独自領域を「進化・融合」させていくシステム作りである。るこれが「Internet of Things」すなわち「IoT」である。それらの複合技術を進化(深化)させることで、製造業の物つくり方式、あるいは技術が、これまでと異なり激変する。これが第4次産業革命である。
ドイツの「インダストリアル4.0」は、スマート工場(Smart Factory)における生産(製造)プロセスを基本的な焦点分野としている。このプロセスは互いに交信する高度に接続された「機械や装置(自動化された)」にその基盤を置いている。つまり生産の最適化である、主たる技術分野は、サプライチエーン協働や製造の自動化(ロボット、ソフトの組み込みシステム)等である。
「Internet of Things」は、生産(製造)への焦点は持っていない。デジタル化された情報と、接続された製品(装置)との「利用局面」に焦点を合わせている。そのことによって、製品のベンダーは、御客が使っている自分の製品と通信ができるので新しい御客サービスの提供が無限に拡がる。(発明くん 2019/10/09)