「成熟・衰退期」の時代背景(4)
パテントマップという言葉は、極めて抽象的であり、かなり広い意味で、曖昧に使われている。前でも述べたが、自社の事業戦略の中で研究開発部署が明確な目的(課題)を持った時に、具体的に行動が起こせるパテントマップが求められる。それは、まだ抽象的な状態にある研究開発テーマを具体化するための道筋を探索するが目的である。
研究開発技術者たちが求めるパテントマップの多くは、R&D部門の「知的基盤」から作られることが好ましい。それは形式には決まりがなく自由である。例えば「X・Y軸」のマトリックス表だけで、十分というパテントマップもある。
「成熟・衰退期」は、「筋の良い研究開発テーマ」の発掘を強いられた時代であった。研究開発のスピードアップと効率化など、改革のための様々な課題を抱えていた。しかし、従来型の積み上げ主義が蔓延り、抜本的な対策は打てなかった。
因みに研究には「実験研究」と「調査研究」がある。「調査研究」には「目的調査」と「探索調査」がある。「目的調査」は課題を解決するための調査で、単なる情報収集調査でかまわない。課題が明確でハッキリしているから商用データベースやアウトソーシングでも行える。課題が明確でないときは、どんな情報が必要なのか解からない。必要な情報が何かわからなければ、外部の初期情報は活用できない。つまり商用データベース等は、課題解決のためには有用だが、課題を生み出すためには、そのままでは無力である。
「探索調査」は、課題を生み出すための調査である。探索調査をするためには、幾つかの目的調査で得られた多種類、他分野の情報をどこかに集め、それを融合、統合させ、いろんな視点からのぞき込み、新しい情報を生み出す必要がある。情報が、課題を生み出すために活用されるためには、それが入手されたあと記憶され、整理されている必要がある。課題を生み出す力を高めるには、「構造化・再構造化」された情報を増やす努力をするしかないことはご理解いただけるのではなかろうか。(発明くん 2019/09/20)