新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくおねがいします。
お正月休みは「8000歩以上/日」を目標にウォーキングで足腰を鍛えました。2018年はIoTやAIといったキーワードが注目されています。2018年のスタートは「AI」を取り上げます。
調査対象が具体的、且つ明確な特許調査(出願前、審査請求可否、無効資料の収集等)は、AIが使えるようになると思います。一方、研究開発テーマの探索調査、あるいは新商品開発や新技術開発のプロセスで必要となる「戦略的特許調査」は、AIでは限界があると考えています。
新規事業・新商品開発を成功させるに欠かせない「戦略的特許調査」のステップについて、まずは、経営陣、事業推進責任者、研究開発責任者の情報ニーズを的確に掴み、新規事業に関連する情報収集と、その情報の「分析・解析」を行い、経営戦略、あるいは事業戦略に組み込むための「マーケテイング調査」がスタートです。
次は、新規事業を優位に進めるに必要な自社技術の「強みと弱み」等を客観的に捉え分析し、新たに開発すべき新技術を洗い出します。そして、それらの新技術の抽象度を高めながら具体化させ、他者の技術、あるいは特許と比較し、知財の安全確認と事業の優位性を確保するための「戦略的特許調査」を進めて行きます。
「戦略的特許調査」の目的は、現場の技術者たちが他社特許の権利侵害に対して安心して研究・開発・設計ができる環境を整え、研究・開発・設計の効率を高めることです。例えば、自社が踏み込むべきでない技術領域を早く見つける、あるいは障害事項を取り除く準備をする、そして自由に開発できる「技術領域」等の確保です。
ご承知のように、特許調査の基本は自分と他人の比較です。従って、まずは「自社と自分情報(*)」を、しっかりと「分析・整理」をし、次に「他社と他人情報」の「分析・整理」を行います。
「戦略的特許調査」は、正直に言って負担が大きい面倒な仕事です。しかし“他者の特許が気になるが、何処から手をつけて良いのか分らない、取りあえず気になるところから(主観)から調査すればいいだろう”という漫然とした状態で特許調査を進めると必ず失敗します。
「主観的特許調査」の結果は、羅針盤の無い航海に出るようなもので、特許情報の海で間違いなく漂流します。目的地に辿りつくための羅針盤に沿った「戦略的特許調査」を行う理由がここにあります。羅針盤に沿った特許調査とは「自社と自分情報」を「分析・整理」をし、正確な「特許航海図」を作ることです。
(*)「自社と自分」が最も重要とする技術(情報)は何かを浮かび上がらせ、特定の機能を実現するための要素技術(手段)は何かを明確にすることです。そして「他社と他人」が最も重要としている技術、あるいは特許は何かを正確に読み取ることです。それを一語一句、比較しながら、その差を丁寧に落とし込んでいけば、夫々の技術の違いが見えてきます。
「戦略的特許調査」の目的は、大きく三つあります。一つは、特許の安全を確認すること、二つは、自分(自社)が自由に開発できる技術領域と事業の優位性を確保すること、三つは、強い特許権利を取得し、無駄な特許出願を止めることです。次回は「AI]と特許翻訳の関係を取り上げてみます。(発明くん 2018/01/10)
・「AI」では出来ない「戦略的特許調査」の詳細は、こちらから
https://www.ipma-japan.org/AI-recommend-gaiyou.html