知財経営推進企業協会(IPMA)のホームページが進化し続けています。「知的財産・特許」に関する研究レポート、知財教育テキスト、「知的財産・特許マニュアル」などが無料で閲覧できるようにホ^ムページヘアップしました。
このコーナ(一般公開資料)で無償公開されている「知財・特許関連報告書(資料)」の多くは日本アイアール知的財産活用研究所(1990年設置)の創立趣旨に賛同頂いたメンバーが作成したものです。資料の作成日は古いですが、内容は現在と将来と長きにわたって必要とされるべきものが書かれていると自負しております。これら資料の公開目的は、3つあります。一つは、これらの資料を逸散させずに残すことです。二つ目は、知財立国日本の危うさを知り、知財業務の改善を促すキッカケになれば、という思いです。
三つ目は、知財のグローバル化です。知財関係者は世界から情報を集め分析をする力と自分の考えを伝える力が求められます。まずは英文特許明細書を読むことを苦手としないことです。グローバル知財で生き抜くには英文特許明細書が「スイスイ」と読める英語力を求められていますが、そのお手伝いができればという思いです。米国特許明細書を3*3方式で分割し、日本語訳をした対訳資料も公開していますので特許英語の勉強に利用してください。
今月の能書き:曖昧な日本語について
朝日新聞の朝刊(1月19日)で「特定秘密法から考える」を興味深く読ませてもらった。このブログで反対、賛成を論じるつもりはない。ただひとつ気になることがある。「秘密法の条文が曖昧なことも国民の不安をまねいた。分かりやすさも大切である」というA教授の意見に対して、B教授は「法律にいちいち書かないと理解ができない方に問題がある」という意見である。つまり我々有識者が書いた文章を理解したければ「学」を積みなさい、という風に解釈できる。、有識者は「学」の無い者でも理解できる文章を書く責任はないのか、というのが私の疑問である。「読む人の解釈、判断にお任せします」では混乱が広がるだけでなく悪用される危険すらありうる。
分かりにくい文章は法律文だけではない。日本にはそこら中に同様な文章がある。身近に、例えれば保険証についている約款がある。多くの人は読んでいないと思うが、どこまで保障がされるのか当事者になってみないと分からないのでは困る。グローバル社会で最も重要なことはビジネスのルールや自分の考えを、すなわち「物・事」を誤解なく伝えることである。分かりにくい文章の悪影響は技術の世界まで及んでいるのは、これまでしつこく述べてきた能書きとおりである。発明技術を説明する「日本特許明細書」の多くは何度読み返しても理解が難しく実に悩ましい。この文章を忠実に翻訳して海外へ特許出願することは無駄ではなかろうか?このままでは「知財立国日本」なんて「ちゃんちゃら」おかしいのである。(矢間伸次)