技術の優位性が守れない企業はグローバル社会では生き残れない
拙本:『このままでよいのか日本の「特許明細書」』が4月2日に発行されました。出版目的は「知財化」に必須となる明快な日本語で書く、即ち「文明日本語」の啓蒙活動です。しかし、この類の啓蒙運動はなかなか上手く行かないです。苦労する覚悟は十分にできています。ここまできたら悩まずに「面白おかしく」楽しみながらやっていこうと思っています。http://www.hanketsu.jiii.or.jp/store/top_f.jsp
この本で主張したいことは曖昧な「日本特許明細書」が及ぼす悪影響(効率の悪さ)を考えだけで他意はありません。”このままで良いのだ、これが特許の世界だ、素人が余計なことを言うな!"とお叱りを受けるかも知れません。しかし技術者の立場から見れば、曖昧で難解な特許明細書に権利が与えられると、特許侵害を避ける為の確認作業に時間がかかり、新技術の開発が遅れます。それが特許制度の狙いと言えばそれまでですが、技術発展の妨げになっていませんか、という問いかけです。
主張や権利を曖昧にして技術者の不安を煽り、技術開発の現場を混乱させることは、もう止めたほうが良いと思います。これからは日本企業同士の競争ではなく日本企業と外国企業とのグローバル社会での競争(戦い)です。曖昧な特許明細書は、特許審査が遅れる、海外企業との知財係争に勝てない、特許流通が進まないなど、たくさんの弊害が有ります。知財のグローバル化で「制度疲労」と軋みが出てきていると思います。
本の校正は入念にしつこく何回も行いました。しかし刷り上った本を改めて読み直して見ると、まだまだ「いじりたくなる」文面が結構あります。特に誤解を招きそうな表現や説明不足の箇所が気になります。校正をしている時は誤字脱字のチエック、人名や年代のチエック、表現の統一チエックといった箇所だけ行えば良いと考えていましたが、つい文章の方までをいじりたくなってキリがありませんでした。物書き屋さんの苦労が分かりました。(矢間伸次)