日本語で論理的表現を実現するための研究会を、日本アイアール(株)で、始めることにした。難しい課題に挑戦することになるが、やる気のある人はどなたでも参加できるものとしたい。
この研究会では、以下の項目の理解を深めながら、少しずつ実践の技を身に着けて行こうと、目論んでいる。
1.なぜ論理的表現、特に論理的記述が必要か:
(1) これからの世界を切り開いていく、パスファインダーとしての役目を、日本人は担うべきであるから、
(2) 世界の中でモノづくりで生きていくためには、その「モノ」を論理的に明快に説明する支援が欠かせないから。
2.どのような場面で論理的記述が必要か:
(1) 私が責任もって担当できる分野は、「仕様書」を作成するところにある、
(2) 研究論文とか、ビジネスの提案書とか、世界に発信する文書全てにおいて論理的に明快な記述は必要であるが、そこまで手を広げることは私にはできない。
3.論理的記述に民族的、文化的適性はあるのか:
(1) なぜ日本人は論理的記述を苦手としているのか、
(2) なぜ欧米人は論理的記述に強いのか。
ここまでが、前提としての理解を深める作業で、この後が実際的に倫理的記述を身に付けるための学習と訓練項目となる。
4.利用するメソッドとテキスト
私が考案したところの、文章を3X3の構造図に示す方法を使って:
(1) 米国特許仕様書をテキストにして、3X3に分解して、「モノ」が英語でどのように記述されているかを理解する、
(2) 英語で記述されているその「モノ」を、次に、日本語で3X3に分けながら記述する。
*結果として、確かに英語の方が論理的記述に適した言語ではあるが、日本語でも充分に論理的に記述することが可能であることが理解でき、同時に、どのように書けばよいのかが身についていく。すなわち、一つの「モノ」について、英語でも日本語でも、同じように明確に簡明に記述できることが理解できる。
*論理的に記述するための「参考書」として、その面では大先輩の英語文章、特に明確に書くことが義務付けられている、あるいはその様に書いていないと有効なパテントとならない米国特許仕様書がもっとも適している.
5.利用する支援ツール
論理的記述を実行していく上での支援ツールとして、以下の二つを利用する:
(1) 日本アイアールが開発し、販売している「MEMODAS」を、記述すべき事項を網羅し、整理する作業に利用する、
(2) 日英双方向の自動翻訳ソフト「Pat-Transer」を使って、短文翻訳を行う。具体的には、一つの英語文章を短文に分解して、その短文を翻訳ソフトに掛けて日本語にする.短い日本語文書を翻訳ソフトに掛けて、英語にする。
*短く、また論理的に整っている文章であれば、この翻訳ソフトは、目分量で、ほぼ90%完全に翻訳してくれる。
*長い文章は、複数の短い単文章を集めて構成したものであるから、単文の集まりに分解でき、同時に単文を集めて一つの(適度な長さの)まともな文章(複文)に構築できる。この作業を繰り返すことで、一つの「モノ」が、英語でどのように記述されているか、その同じ「モノ」を、日本語でどのように記述すればよいのかが、自然に身に付いて行くはずである。
*英訳された複数の短い文章を一つの文章に組み立てることができたら、それでもって、自分で、英語で記述ができることになる。
これまでに、色々の機会に、何度も書いてきていることだが、日本語で論理的に明確に簡明に記述されていれば、それを正確に英語に翻訳してくれる人材は豊富に存在する。英語で書くことに悩む必要はない。
論理的に明快に日本語で記述することは、日本というクニにとって、緊急課題であり、例えば、100万人の日本人がこの能力を顕著に向上できたら、クニ全体から見ればまさに国力の増進になる。
(05.11.5. 篠原泰正)