日本経済新聞(11月2日発行)の掲載記事を読んだ。
国立教育政策研究所は高校生へ向けて「物事を論理的に考える力」が、どの程度身についているかのテストをするらしい。
以下、記事引用。「社会のグローバル化に伴い相手の主張を的確に理解したうえで自分の意見を論理的に筋立て、説明する能力が求められる。日本人同士なら曖昧、あうんの呼吸で乗り切れて来たが外国人に対しては通用しない。企業活動は複雑に利害が絡んだ問題をたくさん抱えている。その問題を整理し解決法を導くにも論理的思考が欠かせない」。
今更、何を阿呆なことを言っているのか、と言うのが率直な感想である。例えば彼等(高校生達)が論理力を身に付けたとしても国際社会で活躍するには20年以上は掛かる。当面の問題は、いま国際社会で活躍を強いられているビジネスマンの「論理力欠如」である。時間がない「待ったなし」の状況を打破する方策が見えてこない。更に問題は彼等(高校生達)へ論理力を身に付けさせることが出来る指導者が果たしてどのくらいいるのか?。
福島原発事故で日本の「隠蔽体質」が世界へ知られることになった。その理由は日本が発信する情報の曖昧さである。日本は「うそつき」で隠すから信用できない、という理由で国際社会から見放されつつある。関係者(政府、役人、東電等)が発信する情報は何れも曖昧、意味不明である。解釈、判断は受け取り側である「あなた任せ」という甚だ無責任な言語を操っている。つまり責任を取らない、責任を押し付けられてはたまらない、これが彼等の目的であり本音であろう。日本人同志なら責任逃れをしている彼等の涙ぐましい努力を理解し共感を得ることは可能かも知れない。しかし世界の人々にはさっぱり理解できない、共感なんて論外であろう。
「隠蔽体質」は日本のお家芸と開き直っているわけにはいかない。「日本原発村」だけでなく「日本特許村」も、その「歪さ」は負けていない。「日本特許村」は事故が起きても死人、怪我人が出ない、これが「日本原発村」との大きな違いである。しかし国益、社益は損ねていることには間違いない。このまま放置しておけば日本企業が死ぬ(倒産)だけでなく日本の「知的財産権」は世界から信用されなくなる。日本人の論理力の欠如が世界から甘く見られ馬鹿にされることになる。日本文化の素晴らしさを世界へ伝えるにも、まず彼等が理解できる言語から入らねばならない。
「日本特許村」の「歪さ」を質し正しいこと言う人が居るならば彼等は組織から外され苦労を強いられるであろう。しかし誰かがやらねばならない。それが一般社団法人知財経営推進企業協会が果たすべき役目と思う。(矢間伸次)