中国人から見た、信じられない日本企業の場当たり主義
中国人弁護士から直接、聞いた話である。優秀な中国人弁護士は、全てとは言わないが、日本企業からの仕事は敬遠しているそうだ。その、理由は大きく3つある。
一つ、日本企業からの依頼書は、意味不明で我々が理解するのに大変な時間を要する。依頼する担当者も何を依頼すべきなのかが解っていない。我々は、理解を得て仕事を進めるが後になって、「実は違う」と、平気で言う。
二つ、日本企業は効果(結果)だけを求めて、我々のプロセスを評価しない。目に見える効果に対して対価を払いたがる。しかし、我々が出す請求書には、確認をせず素直に払うから不思議だ
三つ、日本企業は、意思決定が極めて遅いから大きな迷惑を受ける。ビジネスの世界は、スピードが大切でタイミングを逃すと、我々の仕事は失敗する確立が高くなる。責任を押し付けられてはたまらない!
例えば「模倣品対策」。欧米韓の企業は、我々の情報に対して「即断即決」で指示が出る。彼らは我々と一緒に綿密な計画を立て「模倣品対策プログラム」を幾つか用意をする。併せて会社からは執行権限と予算を得る。
一方、日本企業は、全てが「場あたり的」である。我々が出す現場からの要求に対して、「GO]の指示がなかなかでない。本社で議論をして合意を得ているのであろう、数ヶ月の放置はザラで仕事の中止すら出ることがある。日本企業の組織の奥深さ(?)は、我々にはとても信じられない。日本人は個人で付き合うと優秀だ。しかし、会社組織に戻ると、適切な判断が出来ない人間になるのは何故か(?)これも意味不明である。
グズグズしている間に、「模倣品生産会社」は、数十人から数百人、そして数千人の会社へ成長(?)する。この感覚(膨れ上がるスピード)が日本人には理解できていない。このようにして成長した会社は、超優良企業として、その地方で定着をする。なぜなら、その地方へたくさんの税金を収め、たくさんの雇用を生み出すからだ。
日本企業から仕事を請けた中国弁護士は自分の能力に関係なく仕事に失敗をする。彼は弁護士事務所内で評価を下がることになる。実は、それだけでは済まない事がある。彼は、「模倣品工場」が存在する地方の有力弁護士との連携で仕事を進めている。地方の有力弁護士は自分の人脈(地方有力者への根回し)を使って仕事を進めていく。折角、根回しがすんで用意万端となったところで次の指示が来ない!この償いはどうする、それぞれが自腹を切って信頼を維持するしかない。このような「逆リスク」のある仕事は受けたくない!これが彼らの本心である。
優秀な中国人弁護士は欧米韓企業からの仕事を優先させる。仕事の遣り甲斐が違う、ギヤラも違う、疲れも違う、詰まるところ話が通じる、ビジネスができる、と言うことである。
もし日本企業から仕事が来たらどうするか(?)。その時は弁護士稼業に、まだ不慣れな経験不足の若手弁護士へ頼めばよい。彼等へ日本企業との付き合い方の「コツ」さえ伝授しておけば「没問題!」である。とにかく実労は(リスクがある部分)なるべく減らし日本人が喜びそうな報告書を作成すれば大方済むことである。弁護士事務所としてはコストが掛からずリスクもない、これは「美味しい仕事」となる。
日本企業へ提出する良い(?)報告書とは
1.具体的表現は出来るだけ避けて抽象的表現に留めておくこと
2.流暢な日本語で報告すれば安心するから翻訳者の選択に注意をすること
3.依頼者側の担当者が言い訳ができ、責任を取らされない表現にしておくこと
4.まず、一生懸命にやった結果であること明記すること
5.次に、日本企業を褒めて、丁寧なお礼で締めくくること、以上を申し渡す
冗談半分、本心半分の話だとしても悔しいことである。このことは、日本企業側が自らまいた種の結果で相手へ責任転化にすることはナンセンスである(矢間伸次)