2009年の特許・情報フエア&コンフアレンス
企業プレゼンテーションは開催初日の午前中、しかも会場は6階でした。この時間、この会場での集客は期待できないそうです。しかし何とか格好がつきました。足を運んでくれた方達にお礼を申し上げます。ありがとうございました。相変わらず支離滅裂で聞きにくい講演であったと思います。反省です!この企業プレゼンの内容を纏めてみました。読んでいただける方がいれば嬉しいです。
本日のタイトルは、このままで良いのか「中国特許出願明細書」。サブタイトルは、「良いわけが無だろう!」でも、やめられない、とまらない、カッパ海老セン状態かも・・・では、始めましょう。
私が知る限り中国特許出願明細書の酷さは、もう笑うしかないです。いい加減にせい!と怒鳴りたいところですが殆どの人が無関心です。恐らくは、惨憺たる状況は知っているはずです。しかしいまパンドラの蓋を開けるのはヤバイ!ということです。なぜなら、これまでに出願した案件の多くは紙クズに等しいものです。若し、この事実がバレたら、本当にヤバイことです。ここは停年をするまで隠し通すしかないです。バレたらリストラされ退職金はお召し上げになります。
中国への特許出願は新種の政府開発援助(ODA)らしいです。高い出願費用はりっぱな経済援助です。年間の出願が4万件として、1件50万の費用で、ざっと200億円以上です。その他の中間処理に掛かる費用まで入れると巨大産業です。おまけに日本企業は権利は主張せず、発明はいち早く教え、しかも図面はやたらと詳しく書きます。図面は最高の技術資料です。中国からのIPDLへのアクセスが増えるのは当然で
しょう。こんな「ODA」が有るとは知りませんでした。もうハチャメチャです。中国人の方、きっとこう思って嬉涙を流している筈です。とにかく日本人は良い人だ!「謝謝!」
では何故、中国特許明細書は酷いのか(?)それには、ちゃんとした理由があります。
第一に日本語が理解できる技術者、つまり日中の翻訳者が極めて少ないと言うことです。中国での外国語教育は小学校4年から中学校、高等学校、そして大学校の2年まで第一外国語の英語を学びます。大学校3年からは第2外国語として日本語の選択もできます。しかし、理工系大学の学生は専門英語を選択します例えば「英語物理」と言った専門分野の英語です。日本語が出来る中国人の多くは、外国語大学の日本語学科と言った文系出身者です。彼らは日系企業や旅行会社などに就職しています。
つまり、技術的背景を待たない文系の翻訳者が技術翻訳をしているわけです。特許明細書は「発明・技術」の説明書ですから技術背景を持つ理工系出身の技術者のほうが適任のはずです。技術背景を持つ翻訳者であれば、あの難解な日本語も勘を働かせ意訳してくれるかも知れません。でも勘でやくされてもこまりますが・・。しかし技術背景を持たない翻訳者に比べれば遥かに品質は上でしょう。
最近は理工系出身の技術者が日本語を勉強して俄か翻訳者に成りすまして翻訳アルバイトをしている話も聞きます。中国では「日中翻訳」はギャラがとても良いですから希望者も多いです。しかし!!あの難解意味不明の日本語明細書が理解できるとは思えません。外国人に取って日本語の勉強は、始め(導入部)はとても易しいと言います。ところが勉強すればするほど難しくなるそうです。最後は嫌になるそうです。やはり、日本で長年、実際に生活して見ないと日本語の理解は極めて困難のようです。だから日本語明細書をミスなく翻訳することは神業か奇跡としかいえません。
次に現地渉外特許事務所の現状をお話しましょう
(長くなりますので3回程度に分割してアップしていきます。続きも読んでください)(矢間伸次)