広くて強い特許明細書へ繋がる「発明仕様書(発明提案書)」について
グローバル知財では「世界で通用する(武器となる)特許明細書」が必要です。では、世界で通用する特許明細書を作成するのに何が必要でしょうか。それは発明技術を論理的に説明した分かり易い「発明仕様書(発明提案書)」です。例え腕の良い特許弁理士であっても杜撰(ズサン)な発明仕様書であれば腕の振りようがありません。
当然のことですが、発明仕様書の作成は発明者が責任を持って作成すべきものです。なぜなら発明技術の内容は発明をした本人でしか分かリません。発明仕様書は自らの発明を論理的に発表する手段であり、自分の研究成果を主張する場です。つまり発明仕様書は発明者の存在価値を知らしめる為にあるのです。また発明仕様書は論理的に説明されており、かつ矛盾のない整合性ある文章で記述されていなければ理解されません。この「論理的思考能力」こそ発明能力と説明能力(文章能力)の向上に繋がります。
知財部門のスタッフは、発明者からの聞き出し作業が必要です。聞き出し上手であれば発明者のアタマの中にある情報は次から次へとアウトプットされます。更に発明者が作成した発明仕様書を「発明評価書」にしてフィードバックする必要があります。「発明評価書」を作ることで発明者の特許教育にもつながります。アイデアを発明に、発明を特許にするプロセスが身に付きます。「発明評価書」を作る最大のメリットは、無駄な特許出願は減り「知財コスト」が劇的に削減されることです。
発明者の創造力は「技術報告書」で記録(記憶)されます。実はこの記録のやり方次第で、仕事の成果に差が出ます。この事実が案外と認識されてないのが残念です。日本アイアール社は24年前から図解による創造技法「MC法(マトリックスカード法:特許3841327号)」の研究を続けています。この「MC法」がR&D部門の「知的基盤(インフラ)」の構築に有効であると考えています。
例えば発明仕様書を作成する上で、大切なことが二つあります。まずは自分の発明技術と他者の発明技術を比較して、特許の安全を確認することです。次は自分たちが自由に開発できる技術領域を見つけ事業の優位性を確保することです。つまり自分の発明技術を「上下左右」に展開させたり、深く掘り下げたりしながら侵害防止策、あるいは差別化技術を生みだすわけです。このように情報の発散(拡散)と収束(整理)を繰り返しながら新しい「知」を生み出す生産技術法が「MC法」です。
アイデアの発想、課題の創出、課題の解決、情報の整理、論理的文書の作成、と用途はたくさん考えられます。このツールを「発明仕様書」の作成に使うと大きな効果が得られます。とにかく順序は気にせずに”思いついたら書きたいところからどんどんメモをする”というコンセプトです。また、ここで記憶された情報は守秘する知財、開示する知財に関係なく「知財文書」の品質管理にも約立ちます。技術流出の防止にも役に立ちます、会社から失われていく記憶力の伝承にも役に立ちます(2014/06/18 矢間伸次)。
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